認知症者への基本対応
- 受容(否定しない、認知症者の世界観を受け入れる)
- 傾聴(自分のききたいことではなく、相手が話したいことを聞き出す)
- 怒らない(自己覚知によるアンガーマネジメントで対策)
収集癖事例:
認知症の母親Aさんは、共同スペースに置いてあるもの、トイレットペーパー、本、ペンや家族の持ち物を自分のカバンや引き出しに収納します。
くしゃくしゃになったティッシュをかばんに詰め込んだり、使った後のテッィシュもたんすにため込んでいます。
たんすの整理でボロボロになったものを捨てようとしたら、「捨てちゃダメ!」と怒られたことがあります。
先日は外出の際、レストランのナプキンやトイレットペーパーをきれいに折りたたんでかばんに詰め込んでいました。
収集癖の原因:
・忘れる
集めたことを忘れて新しく持ってくるため、使われず溜まってくる
・もったいないクセ、性格
使い捨ての割りばしや、プラスチックスプーンなど
壊れた道具や家電をゴミ集積所から持ち帰ることもあります。
・不安を解消
物はないよりあった方が良い、「なくなったら困る」「たくさんあれば安心」と集める場合があります。
・代償行動
孤独で不安な気持ちやさみしさや自尊心といった、”精神的な欲求”を満たせないため物で欲求を満たそうとしている。
収集癖の対応:
家族にとってはゴミでも、本人にとっては意味のあるものが集められています。
不衛生であったり危険な物でなければそっとしておくのが良いでしょう。
収集癖に関しては、本人が手放すことに納得しない限り、勝手に片付けることは認知症症状を悪化させる原因にもなります。逆に言えば、本人を納得させることができれば片付けに応じる(事もある)ようです。
こればかりは、本人の行動をよく観察する必要があり、集めている理由を聞いてみるのも良いでしょう。
中には、物がないと不安で何でも持ち帰る方に対して、しまってある場所をものでいっぱいにしたら収集癖が直った、というケースもあるようです。
集めた満足感を引き出すために、見える化して見てはどうでしょうか?
「もう十分にある」と理解して収集へのこだわりが薄くなるかもしれません。
認知症対応のポイント:
・持っていかれて危険な物は隠す
洗剤・せっけん・漂白剤
ハサミ・包丁
・本人がいない間に元の場所へ移動
処分や回収は慎重に行いましょう。勝手に処分されたことに気が付けば、もの盗られ妄想や被害妄想につながります。かえって収集や物へのこだわりを強めてしまいます。
・収集したものの見える化
紙をかばんに集めてしまう → 前もってかばんに紙をみっちり満たしておく
紙をポケットに詰め込む → タオルやハンカチをポケットに入れておく
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