認知症者への対応の基本
- 受容(否定しない、認知症者の世界観を受け入れる)
- 傾聴(自分のききたいことではなく、相手が話したいことを聞き出す)
- 怒らない(自己覚知によるアンガーマネジメントで対策)
帰宅願望事例:
Aさん90歳女性、認知症の症状が進み、在宅生活での限界を感じたご家族は老人ホームへの入居を決定しました。
入居初日の夜から「帰らせて」「皆が待っている」としきりに帰宅願望を訴えられています。
お話を伺っていくと、Aさんは病院に入院させられたのだと思っており、「どうしてこんなに元気なのにこんな病院にいなければならないの?」と不平や疑問を言葉にされていました。
スタッフは少しでも安心できるように「今日はもう夜も遅く、明日家族の方が迎えにくるので安心してください」と伝えるようにしていました。
しかし、「そうなのか。それなら仕方がないわね」と一時は納得してくれるのですが、記憶障害があるためにその説明事実を忘れてしまうため、5分と経たずにスタッフを探し回り訴えるという状況が続いています。
帰宅願望の原因:
・本人の希望ではない
そもそも入居自体を本人が望んでいたわけではなく、同居家族が限界を感じた末のものであったために、本人としては完全なる不意打ちであり、納得等できる筈もない事は想像に難くありません
・環境に慣れていない
人が新しい環境に慣れるまでに3か月はかかるといわれています。
・不安、さみしさ
安心できる場所に帰りたい。親しみのある家族に会いたい。
帰宅願望の対応:
今いる場所が自分の家だと認識できず、不安を感じています。以前住んでいた家が、安心できる場所と思っています。この場合は、「ここがあなたの家ですよ」「今日は帰ることが出来ません。」と反論してはいけません。
「家に帰りたいんですね。家に帰って何かしたいことがありますか?」と一度、相手の不安な気持ち、感情を受け入れてください。
そして不安や、心配なことを聞いてみてください。帰ることを否定する言葉は相手を怒らせたり、不安な気持ちが強くなるだけです。
出来ないこと、忘れたことを否定したり怒ったりせずに、一緒に考えたり行動したりすることで、不安な気持ちを落ち着かせ、安心させることが出来ます。
施設ができることにも限界があります。ご家族様にも介護に参加協力してもらいましょう。
認知症対応のポイント:
・ご家族のサポート
面会、テレビ電話、外出、外泊など
交流する機会を増やしてもらう
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